
いつもの時間に、いつもの作業をする。
いつもの店で、いつものものを頼む。
そうした流れが、
何かのきっかけで崩れたとき、
理由がはっきりしないまま、
なんとなく落ち着かなくなることがあります。
大きな問題が起きたわけではないのに、なぜか、そわそわしてしまう。
これは、一体何が起きているのでしょうか。
ルーティンは、考えなくて済むようにするための仕組み
人は、毎日たくさんの判断をしています。
何を着るか。
何を食べるか。
どの順番で作業を進めるか。
その一つひとつを、毎回イチから考えていたら、
とても疲れてしまいます。
そのため人は、繰り返し行う行動を、できるだけ考えずに
自動的にできる形へと、変えていきます。
一度決めたやり方が、「いつものこと」として定着すると、
そのたびに判断し直す必要が、なくなっていくんです。
これは、
脳のエネルギーを節約するための自然な仕組みです。
崩されたときに焦るのは、変化そのものが理由ではない
いつもの流れが崩れると、人は落ち着かなくなります。
これは、
「変化が嫌だから」というだけでは説明しきれません。
崩れた瞬間、それまで自動でできていたことが、
急に「考えて選び直す作業」に、変わってしまうからです。
普段は使わずに済んでいた判断力を、
突然、使わなければならなくなる。
これは、小さなことでも一定のエネルギーを必要とします。
だから、
理由がはっきりしないまま、なんとなく疲れたり、
落ち着かなくなったりするのです。
心理のキーワード
認知的節約(cognitive miser)
人は
できるだけ考える労力を使わずに済む方法を選ぶ傾向がある、
という心理学の考え方。
繰り返す行動を習慣化するのも、この節約の一つとされます。
習慣が崩れると
節約されていた判断のコストが、急に必要になるのです。
ルーティンが崩れることは、悪いことではない
ここで大切なのは、
ルーティンが崩れること自体は、悪いことではない、
という点です。
むしろ、
崩れたことによって、
「今、本当にこれでいいのか」を考え直す機会が、
生まれているとも言えます。
ただ、
その機会は、心にとって小さな負荷でもあります。
だからこそ、
崩れた直後に落ち着かなくなるのは自然な反応であって、
気にしすぎる必要はないのかもしれません。
構造として見えてくること
いつもの流れが崩れて、落ち着かなくなるのは
変化そのものが怖いからではなく
自動的にできていたことが、
急に、考えて選ぶ作業に変わったから、
なのかもしれません。
その負荷に気づいておくだけでも、
落ち着かなさとの付き合い方が、
少し変わってくるかもしれません。
考えてみること
あなたが最近
落ち着かなくなった場面は
何が崩れたときだったでしょうか。
それは、何を考え直す必要が出てきたからでしょうか。
心理構造ラボ たえ