心の動きと仕組みを読み解く|心理構造ラボ

感情や思考はなぜ生まれるのか。心理構造からその仕組みを解きほぐすブログ。

人はなぜ依存してしまうのか?|依存の心理構造




人に頼りすぎてしまうとき。

離れたいと思っても、なぜか離れられないとき

「弱さ」や「性格」の問題のように感じられることがあります。

 

けれど、その状態は意思の問題ではなく

内側で起きている仕組みかもしれません。

 

この記事では、「依存」がどのように生まれ

なぜ気づきにくいのかを、心理構造の視点から見ていきます。

 

依存とは何か

依存とは、単に誰かや何かに頼ることではありません。

それがあることで、自分の状態が保たれている状態です。

・そばにいないと不安になる

・失うことを強く恐れる

・それを基準に自分の価値が揺れる

このように、対象が「支え」ではなく

自分を保つための前提になっているとき、依存が生まれます。

 

なぜ依存は生まれるのか

人は不安定な状態にあるとき

何かで自分を安定させようとします。

そのとき選ばれるのが、

安心感を与えてくれる人や物、関係です。

・認めてくれる人

・そばにいてくれる存在

・自分を保てる感覚

こうしたものは、本来は支えになります。

 

ただ、それがないと自分が保てなくなると、

「必要なもの」から「手放せないもの」へと

変わっていきます。

 

依存の内側で起きていること

心理学ではこれを

「対象恒常性(object constancy)」と呼びます。

 

心理のキーワード

対象恒常性

(object constancy)

 

相手がそばにいなくても、

関係性や安心感を内側で保つ働き。

 

この感覚が安定していると、

距離があっても関係は崩れません。

 

一方で、これが不安定な場合、

相手の存在が見えなくなると同時に

安心感も揺らぎやすくなります。

そのため、関係を保つというよりも

つなぎ止めようとする動きが強くなり、

結果として依存の形になっていきます。

依存の状態では、対象そのものだけでなく

「自分の安定」も一緒に結びついています。

 

このとき起きているのは、

相手を求めているようでいて、

実際には

「安心できる状態」を求めているという構造です。

 

本来は内側で保てるはずの安定が、

外側の存在に預けられている状態とも言えます。

そのため、相手の反応や距離によって

自分の状態まで大きく揺れやすくなります。

・少し連絡が遅れる

・態度が変わる

・距離ができる

それだけで不安が強くなるのは、

関係が崩れたからではなく、

「自分の安定の置き場所」が外にあるからです。

 

この状態では、

相手を失うこと以上に、

自分の感覚が崩れることへの怖さが大きくなります。

 

そのため、

手放す=失う、ではなく

手放す=自分が崩れる

という感覚になります。

このとき人は、違和感よりも先に

「必要だから」「好きだから」と意味づけを行います。

依存は、外から見ると分かりやすくても、

内側にいると

正当なものとして感じられる理由はここにあります。

 

依存はなぜ気づきにくいのか

依存は「問題」として始まるわけではありません。

多くの場合は、

自分を安定させるための手段として始まります。

 

だからこそ、

・必要だと思っている

・自然なことだと感じている

・むしろ大切にしている

という状態になりやすく、

外から指摘されても受け入れにくくなります。

 

依存は、苦しさが強くなったときに初めて、

支えではなくなっていたことに気づくことが多いものです。

 

依存をどう扱うか

大切なのは、依存をなくすことではありません。

依存は、もともと自分を保つために生まれたものです。

そのため必要なのは、

それがどこまで自分の安定を担っているのかを見ることです。

 

・それがなくても自分は保てるのか

・それがないと崩れてしまうのか

この違いが見えてくると、

依存は少しずつ形を変えていきます。

 

 

考えてみること

 

そのつながりは、

本当に「必要なもの」なのでしょうか。

それとも、

自分を保つために

手放せなくなっているだけなのでしょうか。

 

 

 

心理教育者 たえ