心の動きと仕組みを読み解く|心理構造ラボ

感情や思考はなぜ生まれるのか。心理構造からその仕組みを解きほぐすブログ。

人はなぜ比較してしまうのか?比較の心理構造


人と自分を比べてしまう。

それは特別なことではなく、多くの人に起きている現象です。

・SNSを見たとき

・誰かの成果を聞いたとき

ふとした場面で「自分はどうだろう」と考えてしまう。

 

そしてその比較は、ときに安心ではなく、焦りや不安を生みます。

 

多くの場合、この状態は「自信がないから」と説明されます。

しかし実際には、比較はもっと基本的な仕組みとして起こっています。

 

人はなぜ比較するのか(社会的比較理論)

心理学では、人が自分を理解するために他者と比較する現象を

社会的比較理論(social comparison theory)と呼びます。

 

心理のキーワード

社会的比較理論(social comparison theory)

 

人は、自分の価値や位置を理解するとき、

他者との比較を手がかりにすることがあります。

比較は劣っている証拠ではなく、

自分を把握しようとする自然な働きとして起こることがあります。

 

 

人は自分の能力や価値を、単独で正確に測ることが難しい存在です。

テストの点数のように明確な基準がない場面では、

「自分がどの位置にいるのか」を判断する材料が必要になります。

そのときに使われるのが「他人」です。

 

つまり比較は、

・優れているか劣っているかを決めるためではなく

・自分の位置を把握するため

に起こります。

これは意識的にやっているというより、自然に働く仕組みです。

 

比較によって何が起きるのか

比較は大きく2つの方向に分かれます。

・自分より上と比べる(上方比較)

・自分より下と比べる(下方比較)

上方比較では、目標や基準が見える一方で、

不足感や焦りが生まれやすくなります。

一方で

下方比較では、一時的な安心感は得られますが、

本質的な評価は変わりません。

 

重要なのは、どちらの場合も

比較そのものが自己評価に影響するという点です。

つまり比較は単なる観察ではなく、

自分の価値の感じ方を変えてしまう作用を持っています。

 

比較が止まらなくなる構造

比較は一度始まると繰り返されやすい特徴があります。

理由は単純で、比較によって得られる情報が「確定しない」からです。

他人の状況は常に変わり続けます。

また比較の対象も無限に存在します。

そのため、

・もっと上がいるのではないか

・別の基準ではどうか

といった思考が続きます。

 

この状態では「ここで終わり」と区切ることが難しくなります。

さらに比較によって生まれた評価は、次の比較の材料になります。

この循環によって、比較は自然に繰り返されていきます。

 

比較の奥で起きていること

比較は単に「他人を見ている行為」ではありません。

実際には自分の価値をどこで決めているか

という問題と結びついています。

 

比較の結果によって安心したり不安になったりする場合、

その人は自分の評価の基準を外側に置いている状態にあります。

これは前の記事で触れた「外的評価」とつながる構造です。

 

比較そのものが問題なのではなく、

比較の結果によって自分の価値が揺れる状態が続くと、思考は不安定になります。

その結果として、

・何度も考え直す

・判断に迷う

・過去を振り返る

といった流れが生まれることもあります。

この流れは、反芻思考にもつながっていきます。

 

考えてみること

 

あなたが誰かと自分を比べているとき

見ているのは本当に他人の状態でしょうか。

それとも

その比較を通して、自分の価値を確かめようとしているのでしょうか?

 

心理教育者 たえ